前回の豆知識に続いて、中華料理の火工(加熱方法)をご紹介!
蒸す、煮る、茹でる……
水を使った中華の調理方法は、直接火を通す乾式加熱よりもっとたくさんあります。
奥が深~い中華料理の世界を覗いてみましょう!
汆(ツゥアン:cuān)…さっと湯通しする
食材を沸騰した熱湯にくぐらせ、さっと茹でること。
事前に作っておいた肉団子やワンタンなどをスープにすると、この状態に。
料理例:汆丸子(肉団子のスープ)、汆面片(ワンタン皮のスープ)
炖(ドゥン:dùn)…弱火で長時間煮込む
食材をたっぷりの水やスープに入れ、とろ火で長時間煮込む方法。
いわゆる煮込み料理です。
料理例:炖猪脚(豚足の煮込み)、炖鶏(丸鶏蒸しスープ)
煨(ウェイ:wēi)…とろ火で煮込む
材料が柔らかくなるまで弱火でじっくり煮込む調理法です。
煮詰めすぎないように注意し、スープにとろみをつけるようにします。
料理例:煨麺(煮込み麺)
燜(メン:mèn)…弱火でじっくり煮込む
弱火で長時間加熱しながら、煮汁を煮詰めて仕上げる調理法です。
煮汁に旨味が凝縮され、食材に味が良く染み込みます。
料理例:東坡燜肉(トンポーロー)、燜肉丸(肉団子煮)
焼(シャオ:shāo)…水分がなくなるまで煮込む
「焼」ですが、煮る調理法です。食材を揚げたり炒めたあと、弱火で煮詰めます。
醤油で煮込むと紅焼、チリソースで煮込むと乾焼と呼ばれます。
料理例:干焼蝦仁(えびチリ)、紅焼肉(豚肉の醤油煮込み)
烩(ホェイ:huì)…炒めた後煮て、とろっとさせる
食材を茹でたり炒めたあと、スープで煮込んでデンプンでとろみを加えたもの。
料理例:烩什锦(八宝菜)、烩虾仁(エビのあんかけ)
溜(リュウ:liū)…あんかけ
食材を油で揚げたり炒めたりしたものに、仕上げにくずびきした餡とからませる調理法。
炒や爆からの発展形です。
料理例:醋溜白菜(あんかけ白菜)、脆溜(揚げ物にあんかけ)
蒸(ヂォン:zhēng)…蒸しもの
読んで時のごとく、セイロに食材を入れて蒸気で加熱する方法。
型崩れや焦げ付きがなく、栄養素を閉じ込めやすい調理法です。
料理例:小籠包、蒸蛋黄花(卵の蒸し物)、清蒸茄子(茄子の蒸し物)
糕(ガオ:gāo)…蒸して作るお菓子
小麦粉、米粉、豆粉などを蒸して作るお菓子のこと。
蒸しパン、ケーキ、カステラ、餅、など
料理例:马拉糕(中国風蒸しカステラ)、蘿葡糕(大根モチ)
いかがでしたか?
”煮る”だけでも、このとんでもない数!
どのタイミングで水分を加えるか、スープや煮汁をどこまで煮詰めるか、とろみをどうやって付けるかで、別の調理方法となってしまうようです。
これらを意識しながら調理すると、料理の解像度がちょっぴり上がるかも……?!
ワンタンスープやトンポーロー、エビチリを作るときはぜひ思い出してみてくださいね!
違いがわかれば一人前?!