強火で火を通すとパサパサになりがちなお肉。
それじゃあ、なるだけ低い温度で火を通せばいいのでは?!
ということで、今料理好きの間で話題なのが「低温調理」。
低い温度で火を通すことでジューシーな食感を楽しめる反面、加熱が不十分で食中毒が起こってしまうこともあります。
いったい、どんな点に注意するといいのでしょうか?
低温調理とは?
低温調理は、真空調理ともいわれる調理方法。
お肉などの食材を密閉できるフリーザーバッグなどに入れて空気を抜き、60℃ほどに温めたお湯の中に袋ごと付けて、時間を掛けて一定の温度で加熱する調理方法です。
ローストビーフやチャーシュー、鶏ハムなど、厚めのお肉をじっくり煮込むような料理に向いています。
低温調理が美味しいのはなぜ?
通常、お肉を加熱すると固く引き締まり、肉汁が抜けてしまいます。
強火で焼くとパサつくのはこのため。
低温調理は低い温度でじっくり均一に火が通るので、お肉が固くならずしっとりジューシーに仕上がります。
低温調理の適切な温度は?
厚生労働省「大量調理施設衛生管理マニュアル」には、加熱時のお肉の中心部の温度について、「75℃で 1 分間以上」の加熱が必要とされています。
また、これと同じくらいの加熱殺菌効果があるのが以下の条件です。
ある程度温度が低くても、時間をかけて加熱すれば良いことがわかります。
- ▫70℃、3 分
- ▫69℃、4 分
- ▫68℃、5 分
- ▫67℃、8 分
- ▫66℃、11 分
- ▫65℃、15 分
- ▫63℃、30分
お肉の中心部分の温度を測ろう
一番気をつけたいポイントが、「お肉の中心部分の温度」がこの温度に達した時点からの経過時間であるということ。
十分な温度に達するまでには時間がかかります。
お肉を63度のお湯に付けてから、中心部が同じ63度に達するまで、90分以上かかったという実験結果もあります。
特に厚い肉の場合は中心温度が上がりにくく、カットしてみても見た目で十分に火が通っているかどうかはわかりません。「見た感じ大丈夫」では食中毒の危険もあります。
調理のポイント
通常の料理と同じように、菌をつけない、ふやさない、やっつけるが食中毒防止の基本です。
つけない
新鮮な食材を使い、調理前には手、まな板、包丁、フリーザーバッグなどを十分に消毒しましょう。
やっつける
牛、豚、鶏などの肉の中には、O-157などの腸管出血性大腸菌やカンピロバクターなどさまざまな微生物が潜んでいます。
低温調理で怖いのが、十分に温度が上がらずこれらをしっかりと殺菌出来ていないケース。信頼のおけるレシピの調理時間を確認し、食品用の温度計などで中心温度を確認しながら調理しましょう。
ふやさない
十分に加熱できたらすぐに食べてしまうか、保存する場合は速やかに冷やしましょう。
浮かないように重しをしながら、バッグごと氷水にひたし、完全に冷えたら冷蔵庫か冷凍庫に移しましょう。
低温調理は時間はかかりますが、温度管理を気をつければある程度放っておいてもOKな料理。
ポイントを押さえつつ、休日料理のレパートリーに加えてみてはどうでしょうか?!
料理は科学!