本格的な夏になり、食中毒にもより一層の注意が必要な季節になりました。
「肉にはしっかりと火を通しましょう」と言うけれど、
生で食べる馬刺しや、表面を焼いただけのレアステーキもありますよね。
……あれって大丈夫?
同じ「お肉」なのに、火を通さないといけないものと、
生に近い状態で食べられるものにはどういった違いがあるのでしょうか?
今回はお肉の食中毒について見てみましょう!
食中毒とは?
食中毒とは、細菌やウイルス、寄生虫などが付着した食品や、有毒・有害な物質が含まれる食品を食べることによって起こる健康被害のことです。
肉を原因とする食中毒は、もともと肉の中に原因となる菌やウイルス、寄生虫などが潜んでいるものを食べてしまったり、食肉を加工・処理する際に表面に菌が付着してたものを食べてしまうことが主な原因です。
暑い時期は食べ物が傷みやすいため食中毒が増えますが、肉に潜む原因菌は季節に関係なく存在しますので、食中毒は一年中起こる可能性があります。
なぜ馬は生で食べても大丈夫?
生の状態で食べる「馬刺し」。
なぜ他の肉と違い、生で食べても大丈夫なのでしょうか?
馬は「奇蹄類(きているい)」に分類される動物です。
牛や豚をはじめとした偶蹄類(ぐうているい)の家畜が感染する口蹄疫を始めとしたウイルス感染のリスクが低く、肉の中にウイルスや菌、寄生虫などを保有していません。
また、牛のように反芻しない単胃動物なので、O-157などの腸管出血性大腸菌のリスクが低いのもポイント。
そして食肉処理においては「生食用食肉の衛生基準」というガイドラインが設けられており、マイナス20度で48時間以上の冷凍処理をすることが義務付けられるなど、そのまま食べても安心な体制万全の衛生管理が整っているからです。
なぜ牛はレアで食べても大丈夫?
牛も肥育環境や体質により、肉の中に寄生虫や雑菌が保有していません。
ただし、消化器官やレバーなどの内臓(モツ)には食中毒の原因となる菌が存在しており、食肉処理の過程で表面に付着してしまいます。
表面以外の内部には菌がいないので、表面を焼けば安全です。
ステーキをレアの状態で食べられるのはこのためです。
ただし、ステーキに細かい切れ目を入れる「テンダライズ加工」したステーキや形成肉のステーキ、ハンバーグは内部まで雑菌が入り込んでいます。小さめに切ったサイコロステーキや、長時間タレに漬け込んだ肉にも要注意。
生の状態で食べないように注意しましょう。
鶏や豚を生で食べると……?
大変危険です!
生食は絶対にしないでください。
豚にはE型肝炎ウイルスや寄生虫の有鉤条虫、
鶏にはカンピロバクターやサルモネラといった菌が潜んでいます。
最初から肉の内部に潜んでいたり、食肉処理の過程で表面に付着します。
わずかな数の菌でも食中毒を引き起こすので、
新鮮であっても加熱が不十分な状態で食べると食中毒になるリスクが高いのです。
お腹を壊すだけでなく、日常生活に支障が出るような重大な後遺症を併発する場合もあります。
食中毒を防ぐには?
肉の食中毒を防ぐには、基本的にしっかりと加熱することが大切です。
中心部の温度が75度以上で1分間以上になるようによく加熱し、
生焼けの状態で食べないようにしましょう。
また、調理するときと食べるときで調理器具や箸を分けるのもポイント。
しっかり焼いても、生肉を掴んだトングなどを介して再び汚染されてしまいます。
また、生肉を扱ったあとのまな板や調理器具は、洗剤を用いて流水でしっかりと洗いましょう。
熱湯消毒も有効です。
もちろん、手も石けんでしっかりと洗ってくださいね。
夏はバーベキューや焼肉など、美味しいお肉を楽しめる季節です。
ポイントを抑えて安全に食を楽しみましょう!
防ごう!食中毒